噛み合わせ治療
噛み合わせが体の不調の原因かもしれません
「原因はよくわからないけれど、長年頭痛や肩こりに悩まされている」「口を開け閉めするときに、顎のあたりでカクカクと音がする」「特定の歯だけ、詰め物や被せ物が何度も取れたり欠けたりしてしまう」
このような一見すると歯科とは無関係に思えるお悩みや、繰り返されるお口のトラブル。
その根本的な原因が、実はご自身の「噛み合わせのズレ」にあるかもしれないということをご存じでしょうか。
噛み合わせ治療とは、単に歯の当たり方を調整するだけの治療ではありません。
歯と顎の関節とそれらを動かす筋肉。
この三つの要素のバランスを整え、調和を取り戻すことでお口の健康はもちろんのこと、全身の健康バランスをも見据えた非常に重要でそして奥深い歯科医療分野です。
私たちは、患者様が抱える様々な不調の根源をこの「噛み合わせ」という視点から丁寧に紐解き、健やかで快適な毎日を取り戻すためのお手伝いをいたします。
「年のせいだから」「体質だから」とあきらめてしまう前に、ぜひ一度私たちにご相談ください。
正しい噛み合わせ

「正しい噛み合わせ」と一言で言っても、それは単に上下の歯がきちんと接触しているという単純な話ではありません。
それは「歯」「顎関節」「筋肉」という三つの要素が、互いに連携し見事な調和を保っている状態を指します。
1. 歯のレベルでの正しい噛み合わせ
上下の歯がそれぞれ対になる歯と、山と谷がぴったりと噛み合うように安定した位置関係にあること。
そして特定の歯だけに強い力がかかることなく、全ての歯に均等な力でかつ同時に接触している状態が、歯のレベルでの理想的な噛み合わせです。
2. 顎の関節レベルでの正しい噛み合わせ
下顎の骨は、頭蓋骨に「顎関節(がくかんせつ)」という関節で繋がっています。
この顎関節が無理な力や緊張から解放され、本来あるべきリラックスした安定した位置に収まっていることが重要です。
3. 筋肉のレベルでの正しい噛み合わせ
お口を開けたり閉じたり、食べ物を噛み砕いたりする際には「咀嚼筋(そしゃくきん)」と呼ばれる多くの筋肉が、複雑に連携し合って機能しています。
これらの筋肉が過度に緊張することなく、スムーズにそして左右均等に働いていることが、筋肉レベルでの正しい噛み合わせと言えます。
この三つの要素のどれか一つでもバランスを崩すと、全体の調和が乱れ様々な問題を引き起こす引き金となるのです。
噛み合わせが乱れてしまう様々な原因
噛み合わせの乱れは、生まれつきの骨格や歯並びだけでなく日々の何気ない生活習慣や過去に受けた歯科治療など、実に様々な要因が複雑に絡み合って引き起こされます。
1. 歯並びの乱れ(不正咬合)

出っ歯や受け口、歯がデコボコに生えている「叢生(そうせい)」など歯並びそのものに問題がある場合は、当然ながら正しい位置で歯が噛み合うことはありません。
2. 歯の喪失の放置
抜けてしまった歯をそのままにしていませんか。
歯がなくなったスペースには、隣の歯が倒れ込んできたり噛み合う相手を失った向かいの歯が伸びてきたりして、お口全体の噛み合わせのバランスがドミノ倒しのように崩れていきます。
3. 不適合な詰め物・被せ物
過去に治療した詰め物や被せ物の高さが、ほんの数ミクロンでも周囲の歯と合っていないとその歯だけが強く当たるようになり、噛み合わせ全体の調和を乱す大きな原因となります。
4. 日常生活における望ましくない癖
下記のような無意識のうちに行っている癖も、毎日少しずつしかし確実に噛み合わせのバランスを崩していきます。

- 頬杖をつく
- いつも同じ側ばかりで食べ物を噛む(片側噛み)
- うつぶせで寝る、あるいは横向きで寝る際に下になった側の顎に圧力がかかる
- 日中の無意識の食いしばり
- 就寝中の歯ぎしり
噛み合わせの乱れが引き起こす心と体への様々な影響
噛み合わせのズレはお口の中だけでなく、全身にわたって思いもよらない不調を引き起こすことがあります。
お口の中に現れる影響

特定の歯が欠ける、割れる、しみる
噛み合わせのバランスが悪いと特定の歯に、食事のたびに過剰な力が集中します。
その結果、健康な歯であってもヒビが入ったり欠けたりすり減ってしみやすくなったりします。
詰め物・被せ物が頻繁に取れたり壊れたりする
せっかく治療した人工の歯がすぐにダメになってしまう場合、その原因は噛み合わせの強すぎる力にあることが少なくありません。
虫歯や歯周病のリスクが高まる
特定の歯に不自然な力がかかり続けると、歯と歯茎の間に隙間ができやすくなったり歯を支える骨にダメージが及んだりして、歯周病が進行しやすくなります。
全身に現れる影響

顎関節症
「口が大きく開けられない」「口を開け閉めすると、耳の前あたりでカクカク、ジャリジャリと音がする」「顎の関節やその周りの筋肉が痛む」といった症状の総称です。
噛み合わせの悪さは、顎関節症を引き起こす最も大きな原因の一つです。
頭痛、肩こり、首のこり
噛み合わせが悪いと咀嚼筋は常に過度な緊張状態に置かれます。
この筋肉の緊張が、頭や首、肩といった繋がっている筋肉の血行不良を引き起こし慢性的な頭痛やこりの原因となります。
顔の歪み
左右の噛み合わせのバランスが崩れると、片側の筋肉ばかりが発達しお顔の歪みとなって現れることがあります。
あなたの噛み合わせは大丈夫? 簡単セルフチェック
以下の項目に、ご自身が当てはまるものがないか確認してみてください。
- 顔が左右で非対称な気がする
- 鏡の前で「イー」と口をしたとき、上下の前歯の中心がズレている
- 食事をしていると顎が疲れやすい
- 口を閉じにくい、あるいは閉じると下顎の先に梅干しのようなシワができる
- 口を開け閉めするときに顎から音がする
- 理由のわからない頭痛や肩こりが長年続いている
- めまいや耳鳴りがすることがある
- 姿勢が悪い、体が傾いていると指摘されたことがある
もしこれらの項目に一つでも当てはまるようでしたら、あなたのその不調には噛み合わせの問題が隠れている可能性があります。
当院の噛み合わせ治療
原因を突き止め、根本からの改善を目指します
当院の噛み合わせ治療は、単に症状を和らげるだけの対症療法ではありません。
各種の精密な検査を通してなぜ噛み合わせが乱れてしまったのかという根本的な原因を突き止め、お口全体の調和を取り戻すための包括的なアプローチを実践します。
Step1:精密な診査・診断

まず患者様の自覚症状や日々の生活習慣などを詳しくお伺いするカウンセリングから始めます。
その上でレントゲン撮影、お口の中の写真撮影、歯の模型の作製、顎の動きの検査など多角的な検査を実施。
さらに口腔内スキャナー「iTero」を用いて、現在の噛み合わせの状態を三次元の立体画像として可視化し患者様ご自身にも問題点を視覚的にご理解いただきます。
Step2:患者様一人ひとりに合わせた多様な治療アプローチ
検査・診断の結果に基づき、噛み合わせの乱れを引き起こしている根本原因に応じた最適な治療法をご提案します。
治療法 | 適応 | 特徴 |
スプリント療法 | 顎関節の問題、歯ぎしり・食いしばり | マウスピース型装置で顎関節を正しい位置へ導く |
咬合調整 | 不適合な詰め物・被せ物、特定歯の強い接触 | ミクロン単位での精密な削合・調整 |
矯正治療 | 歯並びの問題 | 歯を理想的な位置へ動かし正しい噛み合わせを再構築 |
補綴治療 | すり減った歯、高さの合わない被せ物 | 精密なセラミック等での修復 |
生活習慣の指導 | 悪い癖の改善 | 頬杖や片側噛みなど無意識の癖の改善サポート |
スプリント療法
患者様のお口に合わせて作製したマウスピース型の装置(スプリント)を、主に就寝中に装着していただきます。
スプリントを装着することで、顎関節を本来あるべき安定した位置へと導き咀嚼筋の過度な緊張を和らげます。
また歯ぎしりや食いしばりの強い力から、歯そのものを守る効果もあります。
咬合調整
不適合な詰め物・被せ物や一部分だけが強く当たっている天然の歯を、ミクロン単位で精密に削合・調整しお口全体の力のバランスを均等に整えていきます。
矯正治療
歯並びそのものが噛み合わせの乱れの根本原因である場合には、矯正治療によって歯を理想的な位置へと動かし正しい噛み合わせの土台を再構築します。
補綴治療
すり減ってしまった歯や高さの合わない古い被せ物などを、全体の噛み合わせとの調和を考慮した精密なセラミック等の修復物に作り替えます。
生活習慣の指導
頬杖や片側噛みといった噛み合わせに悪影響を及ぼす無意識の癖を、患者様ご自身に自覚していただきそれを改善していくためのサポートも行います。
調和のとれた噛み合わせが、あなたの毎日を変えます

噛み合わせを整えることは、単に痛みや不調を取り除くだけではありません。
食べ物をしっかりとそして心地よく噛めることで、食事はより美味しく楽しいものになります。
体の歪みが解消されることで、スポーツにおけるパフォーマンスが向上することもあります。
そして何より原因不明の不調から解放されることで、日々の生活はより快適で質の高いものへと変わっていくはずです。
「ずっと続いている、この体の不調。
仕方がない」そうあきらめてしまう前に。
その原因があなたのお口の中に隠されていないか、私たちに一度調べさせてください。